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一応、里森に話をつけられて また渋々と テーブルに戻る。 オレの前に座ってるのは、同級生の山口だし 男は4人は 全員ツレだ。 あんま気ぃ使うこともないか、と ジンを片手に メニューを開いた。 腹は減ってないけど、里森の奢りだし マリネでも食うかな。 おっ、この店 父さんのワイン入ってんじゃん。 営業の人、頑張ってんなぁ。 オレも たまに、父さんから会社の営業に駆り出される。 で、リカーショップとか、こういう個人経営の店にワイン置いてもらうように営業して ついでに 自分の仕事の紹介もしたりする。 サーモンのマリネと白ワインをボトルでオーダーしてやると、里森が苦い顔したので ニヤッとしてやった。 「氷咲くんて、下の名前なんて言うの?」 なんか遠くの方の席から声がしたけど 前を向くと、山口以外は こっち見てたから 誰が言ったのかは わからない。 「アキラだよ」 適当に答えて、テーブルに運ばれてきたマリネにフォークを刺した。 「アキラくんて、仕事何してるの?」 誰? ここのマリネ うまいし。 「... おい、氷咲」 あっ、アキラって オレか。 「無職だよ。ニートなんだ」 あはは 続けて 二回 同じこと言ってやったぜ。 ワインがきたので、ジンを空けて グラスをテーブルの端に置く。 ふと眼を上げると、正面から山口が牽制するような厳しい眼をオレに向けていた。怖ぇ...
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