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まあ、見なかったことにして ワイングラスに 自分でワイン注いでいると 「わたしも ワイン飲みたーい」 「わたしもー」 とか、聞こえてくる。 「じゃあ、ワイン取ろうか? オレも飲みたいな」上村が頑張っているが 「アキラくんの、ちょっと分けてよ」と 上村は素通りされた。 「やだ。うまいしコレ」 里森が見かねて ワインを2本オーダーする。 しばらくは オレに話が振られなかったので平和だったが、マリネを食い終えて、ワインボトルが半分になった頃に 「ナナちゃーん、席変わってよー」と、向こうの端から 二番目の席の子が言った。 「えっ?」 おっ、めずらしく山口が焦ってんな。 ナナちゃんと いうのは 山口のことだ。 こいつ 高校ん時から、たいていのことには動じないヤツだったのに。 山口は、上村を ちらっとみた。 ああ、なるほど。 あの女の子は 上村が狙ってんのか... 「ナナちゃんは、実は彼氏もいるんだし いいよね?」 うわっ、サラッと言いやがったぜ 合コンの席でよ。 これ、オレが『里森には女いる』って暴露するのと同じだよな? 自分のことは さて置くけど、空気シラケるって。
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