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「大切なひとが いますよね?
妹さんかな... 」
「うん、なんで?」
どきっとした。
リンの猫みたいな顔が思い浮かぶ。
「気をつけてあげてくださいね。
近いうちに、何か つらいことが起こるかも
しれませんから」
「えっ、どういうこと?!」
「はっきりとは、わからないんです。
預言として受け取ったのは、これだけで。
でも 伝えとかなくちゃって思って」
よげん て
預言だよな?
誰からのだろう
何故か、そのことは 聞けなかった。
「次、歌いますね」
レナちゃんが 里森からマイクを受け取る。
... あれ?
レナちゃん、いつ選曲したっけ?
歌いだしたのは
アメイジング・グレイスという讃美歌だ。
レナちゃんが 澄んだ声で歌う間
室内は 水を打ったように静かになった。
レナちゃんの隣に座る先客が 頭を上げる。
長い髪が肩を流れ、顔が見えた。
女は静かに泣いている。
女は、立ち上がると
『ありがとう』と、レナちゃんに言って
薄れて消えていった。
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