アリスの奇行

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もう少しすれば泉さんが来る筈だ。 緊張感と店内の温度からか少し身体が熱くなってきた。 店内を見渡すとマスターと目が合う。 注文するメニューが決まったと思ったのだろう、マスターがこちらにやって来た。 「注文はお決まりですか? 」 席に座ってメニューも頼まないのは不自然だと思いメニュー表の一番上にあるアイスコーヒーを注文した。 「アイスコーヒーで。かしこまりました」 そう言ってカウンターの方へと戻って行った。 私の前にはカウンターの席が二つあり、一番窓際の席に先客の客が座っていて一番奥の席からだと外が良く見える。 その先客の人が私を遮るように座っているので外からは私の姿は見えない筈だ。 まさに絶好のポジションだ。 窓の外にはスーツを着たサラリーマンや他校の制服を着た生徒が通って行くのが見え、皆寒そうな表情を浮かばせながら歩いている。 今年は例年よりも寒くなるのが早いとニュースで見た。 「お待たせいたしました」 窓の外に集中していた所為でマスターが近づいて来る気配に全く気付かず少し驚いてしまった。 「はっ、はい。 ありがとうございます 」
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