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絶対にこの修学旅行で泉さんに思いを告げ晴れて私と泉さんは結ばれるのだ。
そんな事を考えている間に泉さんはマンションの入り口まで行きエントランスの鍵を開け中に入っていった。
無事に着いた様だ。
その様子遠くから見てホッとして安堵の息が漏れた。
「泉さん…… 」
呟いた声は誰にも届かずに宙を舞う。
これほどまでに人を好きなるという事は辛い。
何をしていても、誰といても泉さんの事を考えてしまう。あれだけクラスの生徒を馬鹿にしていたその腐った根性を治さなければと思う様にもなった。
好きになってもらいたいからだ。
泉さんはきっとこんな人間は好きにならない。
泉さんの為に生まれ変わろう。
本心から、誰にでも優しくて、正義感のある人間になろう。
夜空を見上げ瞬く星座に向けて私は誓った。
「帰ろうか」
呟き、後ろを振り向いた瞬間。
電柱の陰から私と同じ学校の制服を着た人間が足早にこの場から逃げる後ろ姿が街灯に照らされて見えた。
「あれは…… 」
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