序章

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序章

 遥か地の果ての大陸には、龍と呼ばれる人知を超えた生き物が存在するという。  彼らは大きく頑健(がんけん)な肉体を持ち、いかなる(やいば)でも傷をつけることは叶わない。  龍の吐息は風を呼ぶ。  龍が降り立った地には金が湧く。  龍の涙は万物を癒す力がある。  そんな夢のような伝説がまことしやかに語られるほど、龍という生き物は、神かあるいはそれと同等の力を持つと信じられていた。  かつて世界の半分を支配していたとされる帝国の繁栄の影には、龍の存在があったとされている。  しかし今から(さかのぼ)ること五千年前。  栄華の最中(さなか)にあった帝国は、ある日突然滅びてしまった。  龍の加護を失ったからと言われているが、その真偽を確かめる術はない。  帝国があった場所には荒れ果てた地が広がるのみで、その文化や歴史のほとんどは消え去ってしまった。
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