一章 黄金姫

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「お(ぐし)や肌色に映えるとか、お花に例えるとか、褒め方にもいろいろありますよ。折に触れ、あれこれお教えしてきたと思ったんですけどねぇ」   二人の応酬を見守っていたセラは、微笑を浮かべる。    ロットの存在も、今ではすっかりこの国に馴染んだようだ。  来月に迫った婚礼も、そのことを象徴しているようで喜ばしく思う。  そうそう、とポンと手を打つリネット。 「ロット様の衣装も出来上がっておりますよ。お袖を通されみてはいかがですか?」  「いや、俺は…」  龍の青年は、気乗りしない様子である。  あまり窮屈な格好を好まないことは良く知っている。  今着ている服だって、イムスタリアの庶民が着る袖のない上衣と、裾がすぼまったゆったりとしたズボン。  装飾の施された服は嫌いだと言い、一度も袖を通したことはない。  セラのドレスが大陸風のものということは、ロットの衣装も同じ作りになっているのは間違いない。  大陸風の衣装は、どれもしっかりした生地を使い、体の寸法に合わせて裁断、縫製されている。    ロットからしてみれば、窮屈この上ない服だ。着るのは嫌がるだろうと想像していた。
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