アングレカムの季節に

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街では今日もクリマスソングが一日中流れている。 つい少し前までハロウィンをやっていたんじゃなかったかと彼は思った。 店の前で箒を掃きながら、彼はため息を漏らしつつ店の中に居る人物を眺めた。 「あの人に出会わなければ俺も今頃彼女と・・・。」と心の中で彼は呟いた。 すると彼の前を、腕を組む幸せそうなカップルが通り過ぎて行った。 もう一度店の中を見ると、先ほどの人物と目が合い、彼はどうしていいかわからず小さく頭を下げた。 その人物はというと、彼に微笑みかけ、手を振るのだった。  彼は高坂壮士(そうし)。二十一歳の大学生である。 あることをきっかけに彼はこの小さな雑貨屋で少しの間働くことになったのである。ことの始まりは約二週間前まで遡る。
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