幸福を告げる

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ベンチに座ると、壮士は携帯を取り出す。 案の定、梓からは何度か電話が掛かってきている。 壮士は、自分のことを心配してくれている梓の表情(かお)を思い浮かべながらこう思った。 (こんなに好きになった人に夫が居るなんて・・・。何かの罰のようだ。) 壮士はそうしてそのまま、気持ちが落ち着くまでベンチでうなだれているのだった。      壮士が店に戻ると、店には何人かの客が居た。 梓は客に雑貨の説明をしている。 壮士は今梓の元に行けば邪魔になると思い、また外へ出て掃き掃除を始めた。 もう十分綺麗だが、壮士は掃除を止めることはなかった。
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