幸福を告げる

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「高坂くん、高坂くん。起きて。」 暫くしてから、梓の声で壮士は目を覚ました。 どうやら本当に眠ってしまっていたみたいだ。 「す、すみません。」 壮士は慌てて立ち上がる。 「私の方こそ起こしてごめんね。外から人が店の中を見ているようだったから、まずいと思って。でも結局、店には入らなかった。まだ寝る?」 「い、いえ。もう大丈夫です。梓さんに迷惑掛けてばかりで本当にすみません。」 「気にしないで。私も学生のときは辛いことばかりで突然悲しくなったりと、色々大変だったから気持ちがわかるんだ。だから無理してお店来なくても大丈夫だよ。」 壮士はそれを聞いて首を振った。 「梓さんのおかげで俺、すごい元気になりました。嫌なこと忘れちゃいましたよ。ハハ。」 目の前に居る彼女の事で悩んでいるのに、忘れられるはずなどなかったが、もう彼女には自分のことで心配を掛けたくなかったのだ。 壮士は先ほどまでの暗い気持ちは無くなっていた。それは幸せな夢を見ていたからだ。 「そういえば。」 梓は何か思い出したようだ。
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