そして破滅へ

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    平和な日々が続いている。 同じこの空間にいるときは、二人にとって幸せな時間だった。 お互いはそれを、敢えて口にすることはしなかった。口にしたら壊れてしまいそうで。 他愛のない会話がどれだけ梓の心を癒しているか壮士は知らない。 今にも溢れてしまいそうな思いを必死に隠しながら、壮士が大切に見守っている人が自分だということを梓は知らない。 それでもよかった。この穏やかな時間が続くのであれば。しかし現実はそう上手くいかなかった。 壮士が店に来ていないある日のことだった。 店に突然元貴が現れたのだ。店に元貴がやって来たのは、約三週間ぶりだった。 「久しぶりだな。元気だったか。」 「な、何の用ですか?」 「元気にしてるかどうか様子を見に来たんだよ。いや、元気だろうな。昼間からこんな事 してるんだから。」 元貴はそう言うと、机に何枚もの写真を並べた。そこには梓が壮士の頭を撫でている姿や、二人で楽しそうに買い出しに行ったときの姿を写したものがあった。 「こんな若い男と・・・。俺の弟が可哀想だよ。」 「彼とはあなたが思っているようなそんな関係じゃないです。元之さんも知っているし。彼に見せたければ、どうぞ見せてください。」 梓は珍しく強気だった。
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