そして破滅へ

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 壮士は慌てて外へ出ると、緊張しながら梓からの電話に出た。 何故なら彼女から掛けてくるのは初めてだからだ。 「もしもし。梓さん?」 「もしもし。高坂くん。今から会えるかな。」 「えっ・・・どうかしたんですか。梓さん。」 「高坂くんに会いたいの。○○駅前のコンビニに居るんだけど、来られない・・・か な?」 いつもとは話し方が違う梓に、壮士は気付いた。お酒を飲んでいるのだろう。 「っくしゅん。」 「梓さん風邪引いちゃいますから。中に居てくださいね。今から迎えに行きます。」 壮士は電話を切り、店の中へと戻った。 「ごめん、急用が入った。また今度ね。」と友人等に何度も謝ると、急いで○○駅へと向かった。 幸いなことに、この場所から梓の居る駅はそう遠くはない。 バスに乗れば十五分ほどで着くだろう。 壮士は嬉しさと不安さを胸に込めながらバスに揺られるのだった。
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