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雑貨屋マーブル。町はずれにある小さなお店である。
女性が好みそうな可愛らしい雑貨が揃っている。
ここに置いてあるものは全て店主である三浦梓が集めた物である。
梓は三十二歳になったばかりだ。車椅子に乗る障害者だが、一人でお店を経営している。昔から動物の雑貨を集めることが趣味だった梓は、いつか自分の雑貨屋を開くことが夢だった。
その夢が叶い、お店を開いてからもうすぐ二年になる。
壮士が働き始めて三日目。
相変わらず壮士は店の外の掃除をしていた。
クリスマスツリーに雪だるまの置物。このお店も周りのお店同様クリスマス仕様になっている。
この町は小さいが、お洒落なカフェや雑貨屋が密集している場所だ。
新しいお店が立つと、テレビで特集されることもあるのだ。
壮士は授業がない水曜日、午前中だけ授業がある金曜日、それから土曜日に雑貨屋マーブルで働き始めた。
働くといってもボランティアなので報酬はない。
それでも壮士は、あの秘密を守ってもらえるならそれでよかった。
最初はレジを任されるのかと思ったのだが、アルバイト経験が皆無だということを梓に伝えると、彼女は掃除と雑貨を並べるだけでいいと冷たく言った。
壮士の家は裕福だった。両親とも公務員だからだ。
壮士は一人暮らしだが、マンションの賃貸料は親が毎月払っているし、毎月の食事代も親が出している。
それだからか壮士は一人暮らしを始めて、ほとんど外食しかしていない。
足りない分は両親に言えば、仕送りしてくれるのだ。そんな壮士にはアルバイトなど必要なかったのだ。
それを聞いて梓はただ唖然とするだけだった。
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