86人が本棚に入れています
本棚に追加
第4話 もう決めた
「どうだろう。」
折橋さんは、ニコニコしながら私に迫る。
そんな時だ。
「失礼します。」
さっきの女性、内本さんがお茶を持ってやってきた。
「お茶をどうぞ。」
出されたコーヒーカップは、某有名な漆器だった。
こ、こんなの、テレビでしか見た事がない。
「どうぞ。今日はね、美味しい豆が入ったんだ。」
「豆!?」
か、会社で美味しい豆?
もしかして秘書になったら、お客さんが来る度に、裏でコーヒー豆を挽くのでは?
「無理です。」
そんな事、私はした事がない。
「どうして、すぐ答えを出すの。」
「考えても私には、秘書の仕事は無理です。」
「だったら、どんな仕事だったら、できるの?」
「それは……」
静寂がしばらくの間流れた後、折橋さんのカップを置く音が、やけに大きく響いた。
「つむぎさん。いろんな仕事にチャレンジしたいって、言ってなかった?」
最初のコメントを投稿しよう!