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アルフレッドはそう答えながら、ふと、かけていたサングラスをはずした。そうして昔のことを懐かしむようなしぐさで周囲を見渡した。
「色彩があるってことは素晴らしいことだ。人によって同じものでも見え方が異なるように、色彩にもいろんな要素が含まれている。俺がサングラスをかけている訳は、ときどきこうして世界を再確認するためなんだ」
アルフレッドは内心、そんな風に考えた。
この時、フィービーは初めてアルフレッドの瞳の色を見た。落ち着きをたたえた、湖の底のような色だった。
☆
第四惑星のゾナロームに到着すると、宇宙港にスペース・コロニーの民間放送局取材陣が待ちかまえていた。
「いかがですか?調子は?」
美人レポーターからマイクを向けられて、アルフレッドは困惑して黙り込んでしまった。
「ばっちりだぜ。優勝は僕らがいただき!」
Vサインを出しながら大地が割って入った。
フィービーは顔を赤らめて、大地と他人のふりをきめこんだ。
「おいおい、何言ってやがる。優勝は俺達ハングリースパイダーのものだぜ」
大地と報道陣の間に、少しがらの悪い連中がわりこんできて言った。
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