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スペース・コロニーへの帰還ルートは、第三惑星とその周辺を取り巻く小惑星帯を大きく迂回する形をとっていた。
「あそこに小惑星帯さえなければ、直線コースをとって絶対優勝間違いなしなのに…」と、大地がぼやいた。
「ははははは。しかたないよ。あそこへ近づくには、操縦を手動に切りかえて、移動する巨大な岩塊を避けながら進むむこうみずさがないと…。…って、え?」
まさか、というようにアルフレッドが通信装置に目をやった。
「SOS信号だ。それも小惑星帯の中から、レース用宇宙帆船のものだ」
「アルフレッド。あれ、ハングリースパイダー号だよ。サザビーたちだ」
「とはいえ、一番近い位置にいるのは俺たちだし、放っとくわけにはいかんだろう」
二人は操縦を手動に切りかえた。
サンダーソニア号はコンピュータでセットしていた軌道を大きくそれて小惑星帯へ向かった。
「いいかい?宇宙ではとにかく人命優先なんだ。たとえそれがどういう相手だろうとね」
と、アルフレッドがいつになく真剣に言った。
小惑星帯に突入しようとした時、民間放送局のレッドアロー号から通信が入った。
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