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「レースに出場だって?君が?…いいかい、新型宇宙帆船は従来の宇宙船よりずっと性能もよくなったし、操縦もある程度はコンピュータが自動的に行ってくれる。…けれど実際に宇宙船を操縦するのにはそれなりの資格と経験が必要なんだ。しかもレースに参加するとなると、ライバルたちを出しぬくだけのかけひきが必要だ。よほどの知恵と勇気と運の良さが君にはあるかい?…そもそも君はいったい何歳なんだい?十年たったらもう一度おいで。さぁ、帰った、帰った」
大地がジラルドに追い返されそうになったその時、さっきの客人が部屋に戻ってきた。
「いやぁ、うっかり書類を忘れたよ」
「あれ、アルフレッド」
大地が驚いて声をあげた。
「おや、大地じゃないか。こんなところで何をしているんだい」
久しぶりに会ったアルフレッドはあいかわらずサングラスをかけていて、肩の上に仔猿を乗せていた。
「こちらの小さなお客さんは例のレースに出場されたいんだそうだ」
ジラルドが肩をすくめてそう言った。
「この前ので興味持ってくれたのか、嬉しいな」
「えへへ」
アルフレッドと大地は顔を見合わせて笑った。
「駄目に決まってるだろ」
ジラルドが言った。
「おや、彼は出場できないのかい?」
「この年齢でできるわけないだろう」
アルフレッドはしばし考えこんでいたが、ふいに手をポン、と打って言った。
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