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その言葉を聞いた瞬間、今までより一層涙がこぼれてきた。
沈殿した黒い感情と、ウィズからもらっている暖かい感情がごちゃ混ぜになって嗚咽に代わる。
「でもっ!本当はもっと早くッ―――」
暖かい感情に流されてはいけない気がして、俺の口からは自分に対する皮肉が飛び出した。
「自惚れも程々にせい、お主がどんなに凄かろうが、強かろうが無理なものは無理なんじゃ、なんせお主は一人しかおらんのだからの、じゃから今お主が宣った世迷言はお主の自惚れ以外の何物でもないのじゃ、それに男がいつまでもわんわん泣きおって、儂が入るタイミングがなくなるじゃろ」
「あのリョーガが泣いてる!!?しかも僕にそっくりな女に抱かれて!?」
後ろから声がかかったと思ったら、陽動を担当しているはずのセリアと、兜を取り額を拭っているレインがなぜか見ていることに気が付き、急に恥ずかしくなった俺は泣いていたことも忘れ、ウィズから飛びのいた。
「あっ・・・」
「なななっ・・・・なんでて、テメエらがここにいんだよ!」
「ご主人のわんわん泣くところを是非拝見したいと・・・レンレンが」
「ちょッ!?僕のせいなのか!?僕はそんなこと言ってないからな!!!本当だぞ!?絶対言ってないからな!!!」
「君たちは・・・少年の仲間かな?彼をここまで連れてきてくれてありがとう、だが・・・君の顔はどこかで・・・」
「あぁああ!!!もういい!!!とりあえず説明は後だ!逃げるぞウィズ!」
ウィズの手を取り逃げようとするが、ウィズはその場を動かなかった。
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