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「待ってくれないか少年、私にはやらねばならないことがあるんだ」
その場を動かなかったウィズの瞳は固い意思を持っており、とても説得は出来ないと感じさせるものだった。
彼女は復活したばかりでふらつく体にも関わらず、地下室から這い出ると、そのまま城に向かって歩みを進めていく。
「ちょっ!お前治ったからっていきなり無茶はすんなよ!こんなところで死なれたら洒落になんねーぞ!」
「大丈夫だ、私は絶対に死なない。なんせ君が来てくれたのだから」
「ど、どういうことだよそれ・・・」
後ろでレンレンがヒューヒュー指笛を吹き、セリアも真似しようと挑戦するがカッスカスな音が鳴るだけだった。
「愉快な仲間を持ったんだね、きっと君の旅路もいつも賑やかなものなんだろう、なんだか少し・・・安心したよ」
まるで母親の様なことを言ってくるウィズに気恥ずかしさを覚え、セリアとレンレンに八つ当たりを決めた。
「ウィズ、右手のそれ消して欲しいか?」
「あぁ、これか?そうだな・・・消して欲しい・・かな?」
何故か俺の方をチラチラ見ながら答えたウィズの右腕には今だ奴隷紋が浮かんでいた。
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