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周りがスーツなのに俺だけこの格好はさすがに居にくい。
というより時間もやばい。
早く帰って俺もスーツに着替えなくては。
そう思ってもままならない一つの衝動。
「どうせ来るのも最後だ、一服くらいしていくか」
拉致される間際ポケットにねじ込んだタバコとライター。
それを片手に大学の喫煙所を目指す。
反対のポケットに入っているスマホがバイブレーションでメッセージを知らせてくれるが、如何せん俺は今感慨に浸っているんだ。
大学の思い出を煙に乗せてってね。
喫煙所の自動ドアをくぐると、そこには俺を拉致した友人がいた。
「鍵宮、お前も来てたのか」
鍵宮 隼人 (かぎみや はやと)それがこいつの名前だ。
まさしく文武両道を地で行くこいつは部活にも入っていないが、入学当初のレクリエーションからかなり目立っていた。
運動系の部活が歯が立たない程の運動神経、しかし喫煙者だ。
鍵宮と仲良くなるきっかけはそもそもタバコだったからな。
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