後ろの幽霊

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後ろの幽霊

 最近コンビニでバイトを始めたのだけど、指導係になってくれた先輩には霊が憑りついていた。  男の人で、背丈は先輩と同じくらいだから結構高い。でも横幅が三倍くらいあって、幽霊なのにすっごい圧迫感がある。  先輩はこの幽霊のことを知っているのだろうか。  そう思って尋ねてみたら、なんと、この幽霊は先輩の過去の姿だと言われた。  何でも先輩は、昔は凄まじく太っていて、コンプレックスを募らせたせいで勉強に身が入らなくなり、大学受験に失敗。でも浪人中に一念発起し、勉強とダイエットを頑張ったおかげで今のように痩せ、大学にも合格することができたのだという。  ただ、当時抱えていた念が相当強かったらしく、生まれ変わったような生活を始めてから、ずっと自身の過去の姿が生霊になって憑りついているということだった。  ただ後ろにいるだけだからと言われ、怖いのを我慢して指導を受けていたけれど、本当に害はないし、むしろ先輩同様幽霊も優しくて、言葉は話せないようだけれど、色んな場面で私が困ると、ジェスチャーで助けようとしてくれる。  優しい先輩はむろん、そんな幽霊のことも、いつしか私はすっかり好きになってしまっていた。だからある日、思い切って気持ちを打ち明けたら、先輩も私に好意を持ってくれていたことが判り、私達は両想いになれたのだけれど、それと同時に先輩の生霊は消滅した。  多分、自分のことを受け入れてくれる存在が現れたことで、凝り固まっていた年賀状化されたのだろういうのが先輩の見解だった。  でも、今はもう先輩の後ろにその姿を見ることはないけれど、たまに、鏡や窓に映る先輩の姿があの太った幽霊になることがある。  もちろん怖くもなければ嫌でもないから、にっこの笑いかけると、向こうもにこりと笑って消える。  先輩も、たまに現れる幽霊先輩もどっちも好き。この気持ちは多分一生続くんじゃないかな。 後ろの幽霊…完
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