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(これは、いくら言っても一緒に来てくれないわね。)
彩は諦めた。
「わかったわ。私と宮本さんとで頑張る。」
彩は渋々と承諾した。
「それより、この前の川の氾濫とかはやめてね。皆さんに迷惑かけたらダメよ。」
その言葉に、彩は顔色を変えた。
「そういうことがないように、次は忘れずに最初に神社にお詣りします。」
「それなら安心ね。明日、会長さんから話があると思うけど、工事現場に行ってもらうからね。」
「い、いつから?」
「さあ?私も詳しく知らないから、あなたが直接、話を聞けばいいわよ。」
(本当は知っているくせに、教えてくれないんだもんね。)
仕事をすると言ったのはあなたなのだから、責任を持って最後までちゃんとしなさい。
そう言われている気がした。
(私がやると言ったのだから、私がちゃんと話を聞くのは当然か。又聞きなんて、話がどこかで間違って伝わるなんてことがよくあるのだから良くないよね。)
「わかったわ。私が直に話を聞く。」
「よろしくね。はい、これ。」
ダイアンは戸棚から白い紙袋を取り出した。
「なに?これ。」
「薬草を調合したものよ。あなたはよく体を壊すからね。もし出先で倒れたら、これを煎じて飲みなさい。」
彩は紙袋を開けた。
乾燥させたドクダミ、レモングラス、そしてミント、他にも彩が嗅いだことのない香りがした。
「…これ、本当に飲まなきゃダメ?これじゃないものって、ないの?というか、市販の風邪薬を持っていくからいいよ。」
「だめよ。それで良くなったことないでしょう。」
「えー、でも、薬が効いている間は症状は出ないよ。」
「だから、それは良くなったとは言えないでしょうよ。これは、体を整えてくれるものしか入ってないし、よく効くからこれにしなさい。」
ダイアンは、無理やり彩のかばんに入れた。
「わかった。持って行く。」
彩は諦めて言った。
「気をつけてね。二人共、ちゃんと帰ってくるのよ。」
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