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優也さんが帰ってきた。
「おかえりなさいませ」
いつものように玄関に行くと「ただいま」と優也さんは微笑む。
そして玄関の三和土(たたき)から上がる瞬間、私のおでこにふわりと接吻をした。
(うわあ)
頬を染めて上目遣いで優也さんを見上げる。
が
菜乃花さんの言葉を思い出す。
“ただいま、ぶっちゅううう”
(そ、それは……!)
焦る私に優也さんはくすりと笑った。
「どうしたの、咲良ちゃん」
「い、いいえ」
「ほっぺたが真っ赤だよ」
「大丈夫です」
私の頬を優也さんの指が、つうっと、なぞる。
(なんて色っぽい目で見下ろされてるの、私!)
「ぷくぷくに腫れてるよ」
「腫れてないです」
「そう、お熱でもあるのかな」
額と額がくっつけられる。
(きゃああああ////)
「ほら、熱い」
「熱くないですっ」
「いや、熱いよ」
私は優也さんに軽く抱き上げられた。
「きやっ」
そのまま片手で襖を開ける優也さん。私は首にしがみつく。
すると
「……あっ…… っ … 」
唇に唇が重ねられる。
抱き上げられたまま、私は接吻を受けていた。
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