さくら色に染まりたい

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「今日はなんかあったのかな」 「なんでですか?」 「ん。咲良ちゃんがなんだか色っぽいから」 「そんなことないです」 私は困る。モジモジしてしまった。 「優也さんの方が……」 「ん?」 「優也さんの方が色っぽいです……」 「……」 「……」 (うやあああ。変なこと言っちゃった!) 「……」 「……」 目をお互いそらさずに見つめ合う。 何も言わない。 まばたきも難しくなって、吸い込まれるように優也さんを見つめている。 「……子供の頃……」 「……え?」 「子供の頃、俺といてどうだった?」 「子供の……頃?」 私は小さい頃を思い出してみた。 「……優しいお兄ちゃんでしたね」 「兄貴と区別がつかなかったんだよね」 「……ええ……ずっと間違えてました」 「お祭りに一緒に行ったのが俺だよ」 「……草履がダメになって、おんぶしてもらいました」 「そうだった。咲良ちゃんは軽くてあったかくて可愛かったね」 「大きなリボンを買ってもらいました」 「とても似合っていたよ」 くすりと優也さんは笑う。 「あの頃の俺は少年だったけれど咲良ちゃんから見てどうだったのかな」 「大人のお兄ちゃんって感じでした。 ほかの子たちと全然違ってました」
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