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遂に見つけた。
ピッケルを持つ手が震える。
「見つけたああああああああああああ!」
僕は空に向かって叫ぶ。ドス黒く染まった入道雲の下で輝く人工太陽は、もう既に最大高度に達していた。
「ヒロ、まだやってたのかよ!」
向こうで弁当を食べてた慎ちゃんとたけちーが呆れたように覗きに来る。
「良いから手伝って!この層の土、結構削りづらくてさ!」
僕は二人に言う。ヘッデンが少しずり落ちた。
「えー、やっと汗乾いてきたのによー!」
と、たけちー。
「僕なんて、まだお弁当食べ終わってないんだよ?」
と、慎ちゃん。
そう言いつつも、二人は既にヘッデンを取り付け、軍手をはめている。こーゆー奴らだってことは幼稚園の頃から知っている。
3人で引っ張り出す。2メートル近い大きさのソレは、教科書に載っていた通りの形だ。
「......子供かな?」
拳でゴンゴン叩きながら、たけちーが言う。坊主頭にヘッデンを巻いてるのは少し面白い。
「いや、大人だね。昔は平均身長も今より低かったって資料集に書いてあった」
慎ちゃんは眼鏡をくいっとしながら得意げに言う。
「じゃあ、子供だったら真寛永アイス、慎ちゃんの奢りな!」
「受けて立とう!!」
二人はカプセルそっちのけだ。僕はカプセルの底にはA-01と刻まれている。
「でも、どうして?別に見つけられなくても先生達がサンプル用意してくれるって行ってたろ?」
慎ちゃんは不思議そうに言う。たけちーに関しては授業中の説明を全然聞いていなかったから、なんの話かわかってない。
「でも先生、見つけられたらそれで実習して良いって言ってたでしょ?その方がワクワクすんじゃん!!」
「はい、2組の皆さん集まってくださいねー。掘り出せた人は、班の番号を書いたシールを貼り付けておいてくださいー、あとで業者の人が回収してくれまーす。泥を払って、バスに乗ってくださーい」
先生が遠くで呼んでる。
僕は、ソレに「3班」と書かれたシールを貼り付けて、急いでバスに向かった。
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