03:政府公認マニュアル(A-02,A-03型)

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現在から約150年前、人類史の中で最も偉大な発明と言われる、超時空移転装置が開発されました。あなた方の時代だと「タイムスリプ」と呼ばれていたと思われるものです。時間と空間の概念を根本から覆すこの装置の研究は、前々から非常に危険視されており、第十八次世界大戦後に世界が一つに統合された後、装置は完成されました。 しかし、黎明期にはこの装置の引き起こした不測の事態は、過去や未来に小さな歪みを生み出す結果となりました。その一つが、この超時空人類種生命維持装置の誤作動です。 この装置によって無作為に抽出された過去の時代の人類種は、緑の閃光と共にカプセルに収納、そしてこの時代まで当時の状態そのまま保存されました。その期間は50~2万年と幅広く、また、かなりの数の人類がこの誤作動の対象となったため、現在では小学校の総合の授業の一環として、遺跡からのカプセルの回収作業並びに過去への再転送が行われています。 眼鏡の少年はとうとうとファイルを読み上げた。 どうやら後世にはタイムスリップの正しい発音が伝承されなかったらしい。
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