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俺は頭を抱える。先程、手枷を外してもらったので物理的に。
話がぶっ飛び過ぎるせいか、思ったより自分は冷静だ。今のところ、見える風景が俺の時代とほとんど変わらないのも理由の一つだろう。ここが近未来の世界なら、こう、空中にウィンってなるモニターとかあってほしいものだ。どうしてまだ黒板が現役なんだ。
俺は、最も現実的な答えに辿り着く。
「もしかして......ドッキリなのか?」
すると、眼鏡の少年はファイルをパラパラとめくり始める。他の二人も一緒になって特定のページを探しているようだ。
しばらくして、今度は坊主頭のの少年が答える。
「ドッキリでは、ありません。この後にテッテレーとパネルを持った人が入ってくることはないです」
彼らの見ているページには「旧時代の人類の質問対応マニュアル」と書かれている。無駄に細かい。
「なんで、近未来の世界なのに紙媒体のファイルなんだ?もっと画期的なものはないのか?」
少し期待を込めて聞く。
「紙の方が安いですから」
日焼けした少年が、今度はマニュアルを見ずに答える。世知辛さの概念はこの時代でもまだあるらしい。少年の見た目と言動のギャップが心に染みる。
「そもそも、今は一体西暦何年なんだ?俺の時代から何年経ってる?」
僕は一体どれくらいカプセルの中で眠っていたのだろうか。何年先の未来まで来てしまったのだろう。
すると、眼鏡の少年がキョトンとした顔で聞く。
「西暦ってなんですか?」
おっと、ジェネレーションギャップが出てしまったようだ。慌ててマニュアルをめくっている。
「あ、ありましたココです!」
そう言って俺にマニュアルの後ろに載っている用語集を見せる。そこにはこう書かれていた。
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