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山下さんも他の二人の女の子も私には気付いていないようだ。
私は別に悪いことをしたわけではないが、
何となく、
気まずくて顔を下に向けながら通り過ぎようとした。
すれ違った直後、
女の子らしい華やかな匂いが鼻をくすぐった。
シャンプーの匂いだ。
私のクラスにもこれと同じ匂いのする女の子がいた。
最近、
流行っている海外のシャンプーらしい。
「あの」
突然、
呼び止められる。
振り返ると、
山下さんがこちらを見ていた。
「これ、
落ちましたよ」
山下さんが手にしていたのは、
私のタオルハンカチだった。
彼女の細い指に水色のハンカチが挟まれている。
どうやら、
私は急いで通り過ぎようとしたときにハンカチを落としてしまったらしい。
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