Sweetest Valentine

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 子供っぽいことをしている自覚はあるけれど、本当に楽しみにしていた分、本当に落ち込んでしまったのだと、言ったら司は笑うんだろうか。それともごめんと謝るのだろうか。 「……颯真」  ごめんね? と首を傾げる可愛さに根負けして、ううん、と首を横に振った。 「ちょっと……拗ねてただけ……」  こっちこそごめんねと不貞腐れた声で呟いたら、いつもより随分膨らんでいる司の体を抱き締める。 「……司が、家にいてくれるもんだと思って帰ってきたら、いなかったから……ちょっと淋しくて拗ねてた」 「……ホント、颯真って時々ちっちゃい子みたいになるよね」  ふふふ、と軽やかに笑う声が耳をくすぐって、ようやく肩から力が抜けた。張っていた意地も、体からすっと抜けていく。 「おかえり、司」 「ん、ただいま」  唇を軽く触れ合わせた後で、あれ、と声をあげる。 「冷蔵庫見たって、なんで?」 「あぁうん、内緒」 「へ?」 「後でね」  ふふ、といたずらっ子の顔して笑った司が、まずはご飯、とオレの手を引いた。  *****  いつも通りに美味しい美味しいと嬉しそうに晩ごはんを平らげた颯真と、キッチンに並んで一緒に後片付けをする。颯真に冷蔵庫を開けさせないようにしているせいか、ソワソワする颯真が可愛くて口元がゆるゆると歪に歪むのを隠すのが難しい。  結局、あんまり凝ったラッピングにするのも照れくさいからと、ラップを被せたココット皿をバンダナみたいな大きめの布で包んで渡そうと思い立って、慌てて100均に走っている間に颯真が帰って来てしまった。  ラッピングは出来ていないままだけれど、ラッピングして手渡すよりもデザートとして提供してしまう方が今の雰囲気に合っている気がする。  最後のお皿を洗い終わったら、まるで散歩の前の子犬みたいにソワソワする颯真に冷蔵庫を指差して見せた。 「じゃ、デザートにしますか」 「やった」  跳び跳ねんばかりに喜ぶのが可愛くて嬉しくて、自分の顔がふわふわと綻ぶのを感じながら、 「温かいのと冷たいの、どっちがいい?」 「ぇ、何それ!? 選択制なの!?」 「うん。温かいのと冷たいの」 「………………どっちも、は?」  小さな子供みたいに上目遣いで聞いてくる颯真に、やれやれと笑った。 「……しょうがないなぁ。トクベツだからね」  *****
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