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「あんた、一体いつまでそうしているつもり?」
「お前が俺の頼みを聞いてくれるまでだ」
「別れろって?」
「頼む」
「そればっかりじゃないか」
「これ以上、お前と関係を続けるわけにはいかない」
「誘ったのはあんたじゃないか」
「あれは……気の迷いだ」
「気の迷いで、一年もあたしと付き合ってたって事かい?」
「お前は美しく、俺は初めて見た時から惚れていた。だが、俺は何の取り柄もないただの男。付き合えるなんて思ってもみなかった。だから、お前が俺を受け入れてくれた時は、本当に嬉しかった」
「それでいいじゃないか」
「だが、俺は既婚者だ」
「そんな事はとうに知ってるよ。酔ったあんたが、聞いてもいないのにベラベラ話したんだからね」
「俺は、これ以上妻を裏切れない」
「本当にそれが理由かい?」
男は、一瞬押し黙った。
「……子供が出来たんだ」
「……やっぱりね」
「妻には今まで苦労をかけた。だから、ここで全て精算して、子供の為に真っ当に生きると誓ったんだ。だから、そのためにはお前が……」
「あたしが邪魔だってことだね。勝手な男」
「すまないと思ってる」
「責任でも取ってくれるのかい?」
「取れるだけの事はする」
「真面な事言ってくれるじゃないか」
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