猫がヒトの世界で生きるためのマニュアル

2/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 今回こちらの本を前足で取って頂いた猫様に、「猫がヒトの世界で生きるためのマニュアル」を紹介させていただきます。あなたには、ヒトの世界ってどんなだろう?という好奇心があるという前提でお話をさせていただきます。興味ねぇよ、って猫様にはこのページで本を閉じていただくことをおすすめします。時間は大切に使いましょう。ニャン生は短いのですから。 この世界の猫には、大きく分けて三種類の猫がいる。 一つ目は、猫の世界でのみ生きる猫だ。二足歩行で歩き、飯を食べ、よく働き、よく遊ぶのだ。いろんな仕事があり、それぞれの猫は好きな仕事を選んで働く。ご褒美は飯を食べる権利が与えられる。元気なくせに働いていない猫は、この世界で飯を食べる事が大罪になる。無職の猫がこの世界で飯を食べたら一時間以内に罰が当たるのだ。つまり、働きたくない猫はヒトの世界でのみ、生きることをおすすめしたい。 二つ目は、ヒトの世界と猫の世界とを行き来して生きる猫だ。逃げ足の速い猫や利他を生きがいにしたいニャン生を望むなら、これをおすすめする。ヒトの世界で販売する食料を奪い、猫の世界の飲食店へ納品する。報酬は納品した飲食店で美味しい飯が食べられること。猫の世界にヒトが使うような「お金」などが存在しない。ヒトは「お金」が大好きだが、口に入れても美味しくないそれを、なぜ沢山集めたがるのか、理解できない。あなたもそう思うだろう。ヒトの世界でよく使われることわざに、猫に小判という言葉があるらしい。 三つ目は、あなたが興味のある、ヒトの世界でのみ生きる猫だ。ヒトの世界では常に四足歩行で歩いていただきたい。なぜなら、四足歩行の方がヒト受けがよく、可愛いからである。ただ生きているだけで毎日食料を貰うことができ、ヒトに「可愛い~!」と崇拝されることに喜びを感じ、ヒトに看取られてニャン生を終えるのだ。 これまで三種類の猫を紹介してきたが、あなたの気まぐれな心でも選択が変わらないというのであればこのまま読み進めていただきたい。 やっぱり気が変わった、というあなたは、この本を閉じて時間を有意義に使って下さい。ネズミが走り去るスピードの如く、ニャン生は短いのですから。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!