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「あ、ちーちゃん!」 甲斐先生はほんと見つけやすい。背も高いし、なにより光ってる。アタマじゃなくて。 それとも私の目にそう映るだけ?全身から柔らかいクリームイエローのオーラみたいなのが見えるような気がするのは。 時折、ラメ入りショッキングピンクにも見えるけど。 病棟に入って診察室に向かう途中で甲斐先生、通称カイザーと鉢合わせ。 「今終わったとこなんだけど。何?もしかして迎えに来てくれたの?」 「先生、騒がないでください。患者さんが見てる。」 ほらもう。にやにやしないで。フロアでくつろいでいる患者さんやスタッフがこっち見るでしょ。 「仲いいねえ。」 「結婚式いつ?」 「ちーちゃん、いつ見てもおっきいムネだねえ。」 「ちょ、小泉さんそれセクハラよ。」 もう。相変わらずのじいちゃんだ。 「小泉さん、僕の婚約者に手、出しちゃダメですよ。」 「そうかあ、今日は先生の特別な日だしなあ。」 小泉さん、そこまで言うのは大げさじゃない?だって今日は……。 「それじゃ、あがりますね。」 「お疲れ様でした。楽しい夜を」 元同僚が興味津々な目で私を見る。 「そ、そんなんじゃないです。渡したいものがあったからで」 あー。だからここに来るのってやなんだよね。     
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