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患者さんや同僚に冷やかされるのはちょっと恥ずかしい。
「お先に失礼します。」
とっとと渡して帰ろう。
「ちょっと待っててね、すぐ着替えるから。ねえどっかご飯食べに行く?それとも。」
「先生、今日は私これを渡しに来ただけです。」
「え?何々?あとでゆっくりじゃダメ?ホテルとかホテルとかホテルとか」
「それしかないんかい、おのれの頭ン中は!」
「えー、だって今日は……。」
何よ、そのすねた目は!
「明日も私忙しいので。ハイこれ、いつもありがとうございます。」
紙袋を押し付ける。
目が真ん丸になりながらも紙袋を受け取り、中を見て。
ん?
あれ?
何だかテンションが下がったような。
「あの。」
「あ。ああごめん。ありがとう。これって。」
「……バレンタインのチョコですが。」
カイザーのはちきれんばかりの笑顔が、だんだん静かになっていく。
私。なんか間違えた?
今日って、2月14日よね。バレンタインデーよね。
「あの…。」
「ありがとお!ちーちゃん。僕の為に一生懸命選んでくれたんだよね。さあお礼に僕のハートを君に全て捧げて~」
どうしたの?笑ってはいるけれど、なんだか無理してない?
「そんじゃさ。ちーちゃんからの初バレンタインデーチョコという事で、お祝いに今からデ」
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