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暖房がよく効いて暖かい部屋。
でもソファとテーブル、テレビ、あと本棚しかない。
ソファに二人で並んで座る。
ふわっとした感触が気持ちいい。
テーブルの上にはコーヒーの入ったマグカップ。それとさっき渡したチョコレートがひろげられている。
「シンプルね。」
「男の部屋なんてこんなもんだよ。」
「入ったことないからわからない。」
「そんじゃ、今日はちーちゃんにとっても記念日だね。男の部屋に初めて入った記念日。」
「わけわかりません。」
テーブルの下の籠の中には宅配系のチラシを溜めてるらしい。カイザーがピザのチラシを取り出す。
「まあまあ。取り敢えずピザ注文しよう。
到着までの空腹しのぎに、おひとつどうぞ。」
カイザーがチョコレートを摘まんで私の口に持ってくる。
「頂きます。」
多分そのチョコレートは、私が今まで食べたものよりも数段に甘く感じた。
「おすそ分けして貰っていい?」
「?」
カイザーの顔が迫る。
その意味を理解した瞬間
ばちいいいいん!
「痛い痛い痛い痛い、だがそれがいい!」
「既に変態の域ですね。」
さあってと。ピザ、何にしよっかなあ。激辛サルサソースベースのホットチリにしよっかなあ。
チラシを検分しだした私の髪にカイザーの指が触れる。
「ありがとう。ちーちゃん。」
耳元でささやかれて、固まってしまう私。
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