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冷たくなってた耳も、多分すぐに暖かくなる。 この人が大好き。 「あ、雪。」 カイザーの声に窓を見る。 暗闇のなか、ちらちらと降っているのがかすかに見える。 「窓、開けてみる?」 二人して子供みたいにソファから立ち上がり、掃き出し窓を開ける。 ベランダにも入り込んでくる、白い花びら。 「積もるほどじゃないなあ。」 「積もったら、カバン担いで歩いて訪問しなきゃ!」 北陸でも東北でも北海道でも。看護師やヘルパーたちが頑張ってる。私も頑張らなきゃ。 「そんなちーちゃんが、僕は大好きだ。」 肩に手が回る。 「お誕生日おめでとうございます」 星と雪が降り注ぐ中、私達はキスをした。
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