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ここは外科、内科、救急センター、入院病棟、デイケアも備えた総合病院の中にある訪問看護ステーション。
私はここで訪問看護師として働いている。
毎日、在宅生活を送る高齢者の方や看護の必要な人たちのところに訪問に行っている。
師長はじめ、同僚のたまちゃん、らんちゃん、さっちゃんと五人でフル稼働だ。
それとは別に。
春からは通信制大学院で臨床心理学もやろうと願書を提出した。
在宅生活を送る利用者さんやその家族を、内面からも支えることが出来たら。
ちょっとぎりぎりだったんで、もしかしたら来年になっちゃうかもだけど。
そうしたらまた結婚は……。
「まあ、ちーちゃんたちがいいんなら。」
「いーんです。」
いつになく憂い顔の師長。
これってあれかしら。わがまま通す娘を扱いあぐねているお母さんの心境?
「カイザーも惚れた弱みよねえ」
カイザーっていうのは私の婚約者の甲斐先生の通称。
ハロウィーンの夜、気がついたら私の婚約者になっていた熱血変態、違った、熱血天然、いやいや熱血イケメン医師だ。
その彼に今日は……。
「ああそういえば今日は」
らんちゃんがカレンダーを見て呟く。
ぎくり。
そんな私を見て、さっちゃんも同じようにカレンダーを見た後、再び私を見る。
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