1.

5/6
前へ
/20ページ
次へ
「そう。在宅生活の人は大打撃よね。まず家族が仕事に出られなくて雪掻きに追われたらしいけど。」 私は雪国に住んだことがないからわからないけど、この辺だと五センチ積もってもパニックになるのは間違いない。 だって雪ほとんど降らないから。 「それでどうしたの?胃ろうの人たちだっているでしょうに。24時間看護体制の人も」 「看護師たちは徒歩で雪中行軍したらしいわ。」 「えーー?」 訪問に行く時の私達は荷物だって半端ない。 カルテや看護に必要な医療用具。その他にも……。 「これ、彼女が送ってきた写真」 みんなでたまちゃんの携帯を覗き込む。 「うっそ。」 「福井の人って身長が100センチくらい?」 「そんなわけあるか!」 見せてくれた写真は白。それしかない。 道?わかんない。 しかも点々と車が、横向いてる。これは傾いてる? 歩く人も何人か写ってるけど雪の高さがその腰くらいある。 「この広い空地は。」 「田んぼみたいね」 師長、田んぼって道路と同じくらいの高さでしたっけ? 「ここを歩いたんだって。車で15分かからないところを片道一時間。 どうしても車じゃなきゃいけないところだった訪問先もあって、事務所に戻ってこれたのが夜中。」 厳しい。次の日、というかもう当日よね。次の訪問だってあるのに、ほとんど寝る時間ない。     
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加