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私は本当ならこの春から、大学生になっているはずだった。
都会の高校を卒業し、都会の大学に行き、青春を謳歌するはずだった。だったのだ。だったという事は簡単に想像できる通り、私は大学受験に失敗した。
滑り止めの大学を自分の慢心から受験しなかったのだ。つまり浪人生になった。その悲劇のあと、予備校に通うような事もせず、毎日をのんびり過ごしていたら、母からの雷が落ちた。
「遊ぶような環境が周りに揃っているから勉強もできなくなるのよ!」・・・みたいな雷だったと思う。
私の魂の籠ったスマートフォンも取り上げられ、勉強に集中できるよう遊ぶ環境が周りに無い懐かしの町に追放されたのだ。
そして今の私の相棒は、開くたびにパカパカ音がする電話機になってしまった。
通信制限までオマケでついているせいでインターネットを開くのにも躊躇してしまう状態だった。
「私の大切なスマートフォーーーン!!」と感極まって部屋の中で叫んでしまっていた。
昼間だからか、他の部屋からの苦情が来なかった事にホッとして私は荷解きをし始めた。
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