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荷解きが終わり、私は昔と同じ位置に布団を敷いた。
「これでよし。」といっても、荷物は参考書がほとんどでそれらを設置してもらっていた学習机に置いていくだけの作業だった。
そこまで終えて、急に懐かしくなった。昔このアパートに住んで居ただけでなく、住んで居た所と同じ部屋を借りたせいだと思った。
この町に追いやられると決まった時、部屋ぐらいは自分で選んでという母からの言葉に、私はすぐにこのアパートにしようと決めた。
運よく空室があり、昔住んでいた部屋が空いているとの事だったので即決して今に至るのであった。このアパートには沢山良い思い出があった。
もちろん家族団欒の思い出もあったが、それ以上に同じアパートに住んで居た幼馴染が居たのだ。
「私はすず。よろしくねっ」
「私・・・はづき・・あのっ」
初めて会った時のことが頭によぎった。杉山 葉月 それが彼女の名前だった。今の私をそのまま小さくしたような恰好で、腰までのびた髪に、眼鏡、さらには引っ込み思案な性格まで今の私に似ていた。
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