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葉月とは、生まれた病院が同じで、誕生日が1日違いだったせいかどうかは知らないけれど、病院のベッドが隣同士だった為か、親同士が知り合いになり、物心ついたころには一緒に遊ぶようになっていた。
葉月と私はずっと一緒に遊んでいた覚えしかない。公園に葉月を連れて行き、雨の降った後の砂場でどろどろになって二人一緒に怒られたこともあったし、葉月の家で昼ご飯をご馳走になったら次は私の家で葉月と一緒に晩御飯を食べたりした記憶もたっくさんある。
私と葉月は親友だったと思う。少なくとも私は葉月を親友だと思っている。葉月の家はこのアパートの203号室だった。父親が建設会社の社長なのに、自分で作った建物に住まずこのアパートに住んで居たという事に小さいながら衝撃をうけたので間違いないはずだった。
このアパートを選んだ理由ももしかしたらまた葉月に会えるんじゃないかという淡い期待からだった。
「今表札を見てくればいっか。」
そう思ったんだけど、変わっていたら・・・という事もありその日は表札を見に行くのを止めて、明日の朝にしようと思った。
「そうだ。持ってきた風鈴を付けてから寝よう・・・おやすみなさい」
窓につけた風鈴が、チリンと返事をしてくれた気がした。
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