第9章 疑似恋愛

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俺はお茶を入れたグラスを舞花の前に置いた。 「一つ言って置くけど、電話に出ないからって突然マンションに来るのは非常識だと思わなかった?」 疑問系で諭してみる。 やってることはグルーピーと変わらない。 舞花は以前の俺との関係が自分の売名の為の偽者の恋人関係だったとわかっていた筈だ。 俺の問い掛けに舞花は顔をうつ向かせた。 三人掛けのシングルソファのみの為に向かい側には座れない。 俺は近くに立って上から舞花を見下ろした。 「……わかってたけど…どうしてもちゃんと話がしたくて…」 「は?…ちゃんと話?」 呟いた舞花の言葉に思わずひきつった笑いが漏れそうだ。 「なんの?」 「よりを戻したいっ…て…」 「………」 よりっ!? なんだ、よりって!?── 「なんで聖夜があたしを避けてるのかわからなくて…理由聞きたいっ…」 「………」 俺はゆっくり頭を抱えた── 姉さん… 事件です。。。 もとい── 社長っ… 俺に言った話と噛み合ってないんですがっ… あれ~!? あの髭、言わなかったか俺に!? “本人もこれに賭けてるから” これに賭けてる…… “舞花は芸能界で食っていこうなんて思ってない…” 芸能界で食っていこうなんて思ってない・・・ “舞花の目当てはお前だ” “俺がお前で釣った” “本気の恋愛しろっ” “舞花じゃだめだったか” ……っ… あの──髭っ…
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