第9章 疑似恋愛

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家路を歩きながらあたしは携帯電話を手にしていた。 多恵ちゃんから貰っていたメールに目を通す── この間のヘリコプター帰還事件に関してのメールだ。 ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 彼氏が役者で二十歳って 聖夜のことだったんだね ( ̄▽ ̄;) マスコミには気をつけてよ? とりあえず頑張って(*^-')b なんかあったら隠さず言え(* ̄O ̄)ノ ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 根掘りはほり聞かれるかと思ったけど案外あっさりしていた。 さすが多恵ちゃん── もう、隠す必要はないかなと思い、あたしは多恵ちゃんに直ぐに電話した。 何も言ってくれないなんて水くさい──なんて言いながら、高槻のことに関しては、三年あるからのんびり考えなさいの一点張りだった… 多恵ちゃんはやっぱり地元に帰ってきて欲しそうな素振りでいる── 家に着くとあたしは高槻にも電話を掛けた…。 「もしもし」 「───…」 「高槻?…あの…」 「答え出すのまだ早いぞ」 「………」 高槻はあたしがなんの為に電話をしたかわかったらしい。 「三年あるから…」 「………」 「三年したらもう一回プロポーズする…その時に返事ください」 語尾の敬語にちょっとドキッとした… ・ なんだか本気感が伝わってくる── 「就職はそっちの会社に決めたから──お前も頑張れよ」 「………」 「たまには一緒に飯食おうな!」 「……う、ん…」 諦めない。的な意志が伝わってくる…… 多恵ちゃんもそうだけど、たぶん今の恋人は芸能人だから上手くはイカナイ… そんな考えがあっての“頑張れ”の言葉── あたしは電話を切ってため息をついていた。 フローリングに胡座をかいて一休みするとテーブルに置いた電話がメールを受信していた。 あたしは床にごろ寝してメールを開いた。 ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 8時に収録終るから九時頃そっちにいく ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 夏希ちゃんのメールだった。 夏希ちゃんは忙しいにも関わらず最近よくこっちに来る。 あたしの行動に何かしら不安があるらしい… ある意味監視も含めた夏希ちゃんの愛情表現。 この間の口振りからして、高槻とのことはたぶん夏希ちゃんにバレている。 夏希ちゃんはそれでも追及してこなかった…
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