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「運べるだろ? だってお前、スポーツテストのとき俺より握力上だったし」 「それってセクハラ発言」 「ん? そうか? まぁじゃあ一緒に運ぼうぜ。片方持つから」 「当然です」  はぁ。私、なんでこんな人好きになったんだろう。世の中、わかんないことだらけだけど、自分のことが一番わかんないよ。 「よーし、これであらかた片付いたな」 「もう、普段からちゃんと整理整頓してないから学期末ごとに大変になっちゃうんですよ」 「まぁいいじゃないか。ありがと、ありがと、お疲れさん」  先生が私の頭くしゃくしゃ撫でてくる。  女の子の頭、なんだと思ってるのかな、この人。  坊主頭じゃないんだからセットしてるっつうの。 「じゃあ、お礼にいいものを上げましょうかね」  そう言ってから先生は化学準備室に引っ込んでいった。そしてすぐ戻ってくると、 「じゃん」  と、得意げにアイスキャンディを二本突き出してくる。 「あー準備室の冷蔵庫にこんなもの入れて。先生の不良ぉ」 「ひっひっひっー他の生徒や先生には内緒だぞぉ」  いたずら小僧みたいに笑う先生。  私は先生の手からアイスキャンディを受け取り一口。  冷たくて甘くてちょっぴり痛い。  あぁ夏の醍醐味だなぁ。 「これで私も共犯かな」 「そうゆーこっとぉ」     
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