17人が本棚に入れています
本棚に追加
ここは実家から近い小さな公園。ブランコとジャングルジムとベンチしかないが、出入り口の大きな坂からは夕日と小さな町が一望できる。
「相変わらずここ景色すっげー」
坂を上ってすぐのところにあるこのベンチからも、夕日は見える。
絶景とまではいかなくても、遊び場があまり無い田舎では子供の頃から人気スポットだった。
「大学、どんな感じ?ていうか高校進んでからどうしてたの」
彼ー倉田勇哉が、昔と変わらないノリで聞いてくる。
「えっと……高校は思ってたよりフツーだったよ。大学は福祉関係のとこに行ってる」
私も普通に話してみるけど、途中からつい伏し目がちになってしまう。
「そっかー。フツーだったか」
勇哉はそう言って一人うなづいてから、「えー!」と大声を出しこっちをのぞきこんで来た。
「いや結構難しいとこだったじゃん。絶対連日テストばっかとかだろ。超シビアなイメージなんだけど」
一回受け流してからの、相手の反応を待たないオーバーリアクション。髪の色や背丈が変わっても、ノリが軽いところは幼稚園の頃から変わっていない。
最初のコメントを投稿しよう!