第一章

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ここは実家から近い小さな公園。ブランコとジャングルジムとベンチしかないが、出入り口の大きな坂からは夕日と小さな町が一望できる。 「相変わらずここ景色すっげー」 坂を上ってすぐのところにあるこのベンチからも、夕日は見える。 絶景とまではいかなくても、遊び場があまり無い田舎では子供の頃から人気スポットだった。 「大学、どんな感じ?ていうか高校進んでからどうしてたの」 彼ー倉田勇哉が、昔と変わらないノリで聞いてくる。 「えっと……高校は思ってたよりフツーだったよ。大学は福祉関係のとこに行ってる」 私も普通に話してみるけど、途中からつい伏し目がちになってしまう。 「そっかー。フツーだったか」 勇哉はそう言って一人うなづいてから、「えー!」と大声を出しこっちをのぞきこんで来た。 「いや結構難しいとこだったじゃん。絶対連日テストばっかとかだろ。超シビアなイメージなんだけど」 一回受け流してからの、相手の反応を待たないオーバーリアクション。髪の色や背丈が変わっても、ノリが軽いところは幼稚園の頃から変わっていない。
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