第1章

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 左腕にはめているTT(時計兼映像電話)の呼び出し音が、 軽やかに鳴っているので応答した。 そのTTは、 同僚のGINNBO PRO(ジンボ正教授)からだった。 内容は、 遂に時間遡行できる順番がきたことを告げる、 私を小躍りさせる嬉しい知らせだった。 「明日、 デリーの大大学の九千九百九十九会議室で、 貴女が待ち望んでいた時間遡行について打ち合わせをします」  彼は要件だけを告げると、 いつものように一方的にTTを切った。  私は、 アーンドラ州で使う公用語テルグ語、 ウッタラーカンドで使うヒンディー語、 オリッサで使うオリヤー語、 シッキムで使うネパール語、 トリプラで使うベンガル語、 並びにギリシャ中期の言語、 古代の周で使われていた中国語、 ラテン語、 近世日本語しか、 話したり、 読んだりできない。
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