第1章

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   過去に遡及した私    三千九百九十九年九月十三日の二十三時を知らせる、 軽やかで心地いい電子音が鳴っている。  見る者の心を癒さずにはおかない美しくも、 悲しい原色の鳥達。 水槽の中を遊泳する様々な種類の鳥達が、 時刻を告げている。 この高額な装置は、 彼からプレゼントされた一つで、 私はとても気に入って大事に扱っている。  私の研究テーマは、 HIST-TE(歴史物性工学)である。 私が選んだのは、 日本近代史の考古学的考察だ。 寝る間も惜しんで、 研究に没頭している。 同じ研究をしているライバルも多くいたが、 私がその先頭を走っているのは間違いない事実だ。
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