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「あーん」
丸椅子を引き寄せて、セウランが言った。
もうそのつもりで、熱い器を左手に持ち、右手に匙を持っている。あーん。兄さん、あーん。
レイアは首を起こした姿勢で、口をへの字にした。
セウラン18歳。
薬師の女性の独特な髪型をしているので、より一層白いうなじが輝く。
華奢で小柄な体型なので、一見、もっと幼いように見えるが、実は年齢より遙かに育っている。
子供を五人くらい産んだおばさんのような、太い神経をしている――と、レイアは心の中で、妹を評している。
セウランは頭脳は明晰である。その上、反射神経も素晴らしい。生まれついて活発にできている。
魔薬士というものは、兵法と薬学の二つを請け負うものだ。兵法を学ぶ上で、武芸の心得もある程度は必要になる。
セウランは、こう見えて容赦がない。
この女に刃物を持たせてはならないと、幼馴染のタカークは言っている。
「解剖実験の蛙でもさばくように、人を殺るぜあいつは」
可愛い顔して、あの目は猛禽の目だよ。お前が昼間のフクロウなら、あいつは獲物を見つけたハゲタカだ。
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