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明晰な頭脳を持つにも関らず、見た目はうだつがあがらない。
ぼうぼうに伸ばした髪の毛は目にかかり、後ろでゆるく束ねられてはいるが、いっそのこと切ってしまった方が良いのかもしれない――と、誰もが思う。
見た目にこだわらないので、髪を整える時間があれば、薬房で仕事をしているか、書物を読んでいるほうを選ぶのだ、レイアは。
低く柔らかな声で、ゆっくりと喋る様子も、気の短い相手ならば苛立つだろう。
慢性的な寝不足と、疲れがたまるとむくみが瞼にくるせいで、だいたい、目は半開きだった。
(こいつには嫁は来ないだろう)
と、だいぶ早い段階でピタは思っている。
(無理に嫁に迎えたとして、嫁が気の毒である)
そこまでピタは思っている。
それで、レイアはこの年になるまで一度も見合いをしたことがない。
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