カーン家 1

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 明晰な頭脳を持つにも関らず、見た目はうだつがあがらない。  ぼうぼうに伸ばした髪の毛は目にかかり、後ろでゆるく束ねられてはいるが、いっそのこと切ってしまった方が良いのかもしれない――と、誰もが思う。  見た目にこだわらないので、髪を整える時間があれば、薬房で仕事をしているか、書物を読んでいるほうを選ぶのだ、レイアは。  低く柔らかな声で、ゆっくりと喋る様子も、気の短い相手ならば苛立つだろう。  慢性的な寝不足と、疲れがたまるとむくみが瞼にくるせいで、だいたい、目は半開きだった。  (こいつには嫁は来ないだろう)  と、だいぶ早い段階でピタは思っている。  (無理に嫁に迎えたとして、嫁が気の毒である)  そこまでピタは思っている。  それで、レイアはこの年になるまで一度も見合いをしたことがない。
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