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side:響也
「響也君、ちょっといいかな。」
青い顔をして、点滴されて、ベッドに横たわる青から。離れたくなかった。
「君には知る権利がある。むしろ義務に近い。」
「……何の話だ……」
「ただ、この話はずっと……青ちゃんが君に隠していたものでもあるんだ。」
「青が、俺に?」
「……響也君は、いずれ跡を継ぐね?そしたら、子供、必要だよね。そういう、家だよね。」
「……あぁ、まぁそうだけど……」
「青ちゃんが、もし死ぬまで妊娠出来ない体になっても、君は青ちゃんを愛せるかい?子供はまだかと言われても守りきれるかい?」
妊娠出来ない体になっても……?
今は妊娠したら死ぬってしか……
でも
「……青が、青が死ぬより、ずっとマシだ!!」
「そうか。じゃあ、青ちゃんが寝てるうちに、ちょっと来て。」
山田は、俺に子宮内膜症という病気の説明をし始めた。同席していた婦人科の高橋先生は青の担当医らしく、あなたがご開通させたのねー!内診しやすいわー!と言われ、さすがにちょっと恥ずかしかった。
青は、手術をすれば妊娠出来る。
このまま薬で何とかしようとしても、何度も再発してる。
青が飲んでいたピルは、避妊するためではなく、生理痛が酷い、というレベルではなくもはや拷問レベルなものらしく、それを緩和するためのものだった。
前に、聞いたかもしれないし、でもあまりよく覚えてなくて。あれ?なんで避妊しろっていうくせにピル飲んでんだ?って。
多分忘れてたのかもしれないけど。
そんなに酷いものだとは、聞いてねぇぞ、青。
「響也君に、内緒で頼まれてほしいことがあるんだけど。」
「……なんだよ。」
「青ちゃん、今までセックスして痛がったこと無かった?あ、開通式以外でね!!」
「痛がってた様子は1度もねぇけど……」
「そっか、高橋先生どう思う?」
「多分……これからかな。あの子が初体験したのもセックスをしていたのも、子宮の状態が割といい方だったから。」
「おい、山田お前まさか」
「青ちゃんは点滴外れたら帰すよ。本当は学校も休んでほしいんだけど……。まあ、響也君に頼みたいことはね、タイミングみて青ちゃんとセックスした時、痛がったら教えてくれ。痛くて最後まで出来なくて病院きたら内膜症って人結構いるんだよ。」
「………わかった。そん時は連絡する。」
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