69人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「分かるよ。ワインが痛んでないかがね。」
「へえ……」
なんだか五貴さん、ソムリエみたい。
「そこまで知ってるなんて、意外ですね。」
「そうかな。」
五貴さんはボトルを持つと、グラスにワインを注いだ。
しかも、1~2cmしか注いでいない。
「これしか、注がないんですか?」
「最初はね。これで、テイスティングするんだよ。さあ、飲んでみて。」
「はい。」
ワインを飲む前に、息をゴクンと飲んだ。
人生初めての、ワイン。
五貴さんが、私の為に選んでくれたワイン。
しかも、高級なシャトー何とか。
また、手が震えてきた。
「大丈夫?手が震えてるよ?つむぎ。」
「だ、大丈夫……」
カタカタ震えながら、ワインを一口飲んで見た。
口の中で、葡萄の甘味と、渋味が混ざる。
そして、ほんのりとアルコールが鼻から抜ける。
「美味しい……」
「だろ?」
私達は、見つめ合いながら笑った。
最初のコメントを投稿しよう!